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【蝕受】オリオン座からの招待状

先ほど日本アカデミー賞の主演女優賞が発表された。ノミネートされた中に宮沢りえちゃんがいた。残念ながら受賞には至らなかったけれども、私の中では映画「オリオン座からの招待状」の中で映画館の若くてきれいな奥さん役を演じていた彼女が印象的で、受賞してくれないかしら、と思っていた。残念だったけれども、映画を観たときの感動を思い出して、書き記してみた。概要のような客観的なストーリーは敢えて書かなかった。ただ、自分の感じたことだけを記してみた。大人向けの映画で、同時期に興行されていた「続・Always・・」に劣っていたとは思えないけれど、残念ながら観客は少なかった。閉館前のオリオン座のように。

*************

宮沢りえちゃんが綺麗だった。なーんだ、そんなことか、と思うかもしれない。でも彼女の所作、表情、あぁ、女優さんだと思うに価値ある美しさ!
懐かしい長屋の路地、土間のある台所、前掛けのエプロン。ランニングシャツに汚れた靴を素足で履く男の子。呉服のハギレを集めて「きれいでしょ?」と訊く女の子。

「おやっさん」の葬儀を終えて、かつおぶしを削るりえちゃん。今までおやっさんがしてくれていたその仕事を、傍で見ていた自分が今度はしている。その喪失感。感情があふれてくるのに、静かに、恥とばかりに流した涙を拭うりえちゃん。その様子に近づきがたい加瀬くん。そのときまで、りえちゃんは、確かに「おやっさん」を心から愛していて、そしてただ失ってしまっただけだった。りえちゃんは夫婦の毎日の名残を演じていたのだ。

そんな自分に「どこかに行こうか?」と気分転換をしようとするりえちゃん。自転車を押して行くなんて、現代の「どこかに行こうか?」ではなくて、近所の、日常の、そんな二人の「どこか」。

自転車にのって、立ちこぎなんてしちゃうりえちゃんの黒い服に、公園の緑と、邪気のない笑顔が映えて一枚の絵のようだった。そして加瀬くんの中ではりえちゃんのことが「あねさん」でなくて、女性になった瞬間だったんだろうと思う。そして、りえちゃんも、加瀬くんにかぶせた「おやっさん」のハンチング帽は、似合ってしまうと、彼を男性としてみてしまいそうで怖くて、「新しいのをこうてやる。」と言ってしまうのだ。

りえちゃんが映画館の正面高いところに看板をかけようとして、誤って怪我をしてしまった病院の帰り道、りえちゃんを背負う加瀬くん。恥ずかしいから降ろしてというりえちゃんに、病人だからと降りることを許さない加瀬くん。怪我を理由にずっと背負っていたかった。
言い訳をたてに愛している後ろめたさ。結局彼はりえちゃんが大切だから、最後まで言い訳のたつようなあるいは「義」のうしろでこっそり彼女を愛してきたのだ。オリオン座を最後までつぶさなかったのはただ、りえちゃんとずっと一緒にいたかったから。無くなれば一緒にいる理由さえなくなってしまうから。

一度だけ、りえちゃんから差し伸べてつないだ手。世間がなんといおうと、二人にできるせいいっぱいで愛しあってきたのだった。最後のさいご、命が果てるまで。もっと早く気持ちを確かめ合ったとしても、それを「おやっさん」がうらんだりするはずもなく、「不義」と思うはずもないのに、ただただ、お互いが、そうすることをがまんしてきた純情さが痛かった。

こんな愛も、あっていい。

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